2008上海

2008年、上海の旅

日程:2008年1月3日〜6日

(旅の短いメモとして記す)

上海の旅のことを、書いてみたい。

2023年から振り返ると、15年前のことだ。2008年は、自分が社会人になって1年目。年末年始休暇を利用し、社会人として初めての海外であった。

上海の旅は、記憶が薄い。今こうして残っている写真を眺めながら、そうか、ここへ訪れてたなとぼんやり思い出している。一方で、具体的に何をしたとか、何を感じたとか、そのあたりが全く思い出せない。これまでの自分の海外の旅の中でも、ここまで印象が残っていないのは、この上海だけのような気がする。

その理由はなんだろう、と考えている。4日間という日程の短さにあるのか、中国という距離的な近さにあるのか。でも、例えば韓国とかベトナムとか、印象深い旅はこれまでにもたくさんある。日程や距離の問題だけではなさそうだ。

ふと思いついた。この上海は、「人に出会わなかった」旅だった。出会いなき旅。

私が旅をしていて一番好きなことといえば、そこで見知らぬ誰かと出会うことだ。他の旅人でもいいし、現地の人たちでもいい。出会うこと、笑顔を交わすこと、挨拶をして言葉を交わすこと。流れによっては、親しくなることもある。出会って、また別れていく、その付かず離れずな感覚が好きなのだ。

上海の旅では、誰かと出会った記憶が、ほとんどない。自分にとって、本当の意味での孤独な旅だった。一人旅は好きだけれど、本当に誰とも出会わない孤独な旅は本当は好きではないのかもしれない。誰にも出会わなくても、美しい自然の景観、美味しい食べ物、何かと印象に残るものはあるはずなんだけれど、それでも、記憶が薄い。

それらを誰かと分かち合うということが、もしかしたら旅には必要なのだろうか。時間がたった今、記憶をたどり、足跡を思い出しながら、そんなことを考えている。

【完】