【2025.05.18】vol.143 「お前は、何が欲しいんだ?」

日々折々

【2025.05.18】vol.143 「お前は、何が欲しいんだ?」

4月から着任した新しい同僚に対して、職場の人たちの評判がイマイチで、その陰口みたいなものが気にかかる。異質なものを排除しようとする人間の本性が垣間見える。集団の中で、似た者同士が集まり、協力しようとして、逆に馴染めない者は忌み嫌われてしまう。身近な場所でも、遠い歴史の中でも、同じことを人間は繰り返している。そこに、どうしようもない虚しさを感じる。じゃあ自分はどうする?周りに流されることなく、軸を持って、冷静に判断できる自分でありたい。

異質なものを社会的に抹殺しようとする風潮。たとえば、中世の魔女狩りみたいなもの。「魔女に正義などない」と誰が言い切れるだろう。抹殺した責任を自分は取れるだろうか。「指輪物語」のセリフを思い出した。フロドが「ゴクリなんて死んでしまえばいい」と言ったことに対して、ガンダルフは言う。「死者に命は与えられない」「誰にでも果たすべき役割がある」。

財布に穴が空いていることに気づいた。使い始めたのが遠い昔のような気がする。10年以上は使っているのかもしれない。そう考えると、長い長い時間の中で、自分と苦楽を共にし、さまざまなところを一緒に旅してきた大切なパートナーだ。穴が空いて初めて、その存在に気付かされている。

仕事があって、職場に毎日通うことができている。ただそれだけで50点に到達している。1年目の経験値で10点を上乗せ。2年目の経験でさらに10点。70点くらいの今がある。完璧とはいえないけど、0点なわけでもない。70%くらいは満たされている今。足りない30点をすべて埋めることはできなくていい。1年かけて少しずつ、5点くらい増やして、来年の3月の辞める頃に75点になっていればそれでいい。迷い間違いながら、時流に流され、長いものに巻かれながら、ただ継続していく日々でいい。過去は傷だらけ、未来は不安だらけ。今現在はどうだろう。過去には楽しい思い出を、未来には明るい希望を詰め込んでみたら、今はもっと生きやすくなる。

「お前は、何が欲しいんだ?」。あの本の、あのおっさんの、あのセリフを思い出した。17年前にインドを旅して出会った本の、あのページだ。そこから何かが変わった気がする。

近所の居酒屋へ、家族で夕食。女将さんが息子の友だちの母親という身近なつながり。お店の雰囲気もよくて、食事もおいしくて、ひとりで通えるような気がした。またひとつ、自分の場所になりそうだ。