【2024.03.31】vol.83 イノセントワールド (年度末最終日のメモ)

日々折々

【2024.03.31】vol.83 イノセントワールド (年度末最終日のメモ)

3月末、今年度の終わり。仕事では、超繁忙期と人事異動の季節。職場を去る人、新しく来る人。家庭では、保育園が終わり、娘の入学や息子の進級に向けた変化。その中で、自分の役割も、環境も変化していく。いろいろ目まぐるしくて、目まいもしそうになる現在地。

ヴィクトール・フランクル著「夜と霧」を読み始めた。昔、買って読んだときは、途中で挫折してしまったけれど、今回はすいすいと読めている気がする。名著も、自分が読むべきタイミングがあって、この本は、今の自分の心境にピタリとハマっているのかもしれない。

BUMP OF CHICKENの「firefly」が響く今の自分だ。いろいろと難しくて、続けること以外に、生きていること確かめられない。

映画スラムダンクのDVDを買って、観た。ソータは言う。『俺もいつだって心臓バックバックよ』と。ゾーンプレスをドリブルで突破する宮城リョータに、心はいつも震える。

わからないことばかりで、頭は悩んでいる。不安を感じてしまう。それも2年後にこの職場を去るときには、消えてしまうものばかり。過去は悔いてばかり。未来は不安で惑っている。わからないことばかりの物語なのだ。子供の頃も、20代の頃も、30代の頃も、そして今でも。それぞれの年齢で悩んではいて、そして悩んだことも忘れていく。たぶん50代になってもまた迷ったりしているのだろう。それでも生き延びていれば、笑えていれば、たまに良いことにも出会えたりする。

ドラマ「VIVANT」を見終わった。3月中は通勤バスの中でずっとハマっていた。オススメしてくれた知人に感謝だ。人が勧めるなら、何でも試してみる。素直に、愚直に。知らなかった世界が新しく広がっていく。自分で発見するときよりも、その楽しみは何倍にもなって、物語になる。

10年前の元上司が夢に出てきて、その人に対する評価や信頼残高は変わってないようだと思った。そういうことでさえ、10年経てば他人事のようになっている。時間の流れの不思議な効用かもしれない。時間を味方につけることの意味。それは武器になって、自分のことを守ってくれるだろう。長生きすること、経験を積み重ねることの意味。結局、いつか死ぬことは分かっていて、それでも意味はあるのかどうか。もはや「意味」という言葉自体が何なのか曖昧だ。意味があると言えれば、プラスの力になる。

来週の小学校入学式に年休がとれそうか、悶々としていたけれど、ボスや同僚が理解をしてくれて、送り出してくれたこと。そこにささやかな光を感じた。この職場で1年間なんとか積み重ねた信頼残高の結果だ。1年前にゼロで始まった信頼残高はちゃんと積み上がっていた。真面目に、愚直に、働いてきた。ずる賢く生きるよりも、そっちのほうがずっと自分に合っているような気がした。

仕事2年目への不安。明日からの1年間が途方もなく感じるなら、365日分を365人の自分で分かち合えばいい。何もなく平穏に終わる日だって確かに何度もあるだろう。擦り切れる日があっても、別に毎日がそういうわけでもないこと。辛い日のこともいつか忘れていく。日々は過ぎ去って、日々は続いていく。そんなの自分だってもう知っている。

心もとない自分がいる。「よくわからないから、教えてください」。そういう素直な言葉と姿勢は、使っていったほうが良い。その初心を無くしたら立ち止まってしまう。天命に任せてみよう。やるだけのことは、やってみようと思った。10年以上前、インド出張のミーティングで、ふがいなかった自分がいた。それでも何となく、人に守られて、天に守られて、ここまで来たのだ。

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【年度末最終日の仕事後のメモ】

2024.3.30(土) 17:10、志楽の湯の休憩所にて記す

年度末の最終日の今、感じていることをメモしている。今回異動する2人の先輩に最後のあいさつをして、少し涙ぐむ自分を見つけることができた。年下で先輩の若い2人に教えてもらったこと、助けてもらったこと、数え切れないほど積み上がっている。この1年間という道の上に。感謝。人に恵まれて、運が良い自分に気づく。うまく話せない、心を開けてない自分に気づく。少しもどかしくて、申し訳ないと思ったりもする。しんみりと涙を感じるのは、自分が精一杯はたらいているからだ。全力で仕事に取り組んできた証だ。前の職場ではなかった心境だ。揺れ動く心に、感情がうずまく。不安や恐怖ばかりで、焦ってバタバタしていて大変なことばかりだった気がするけれど、感情が豊かに溢れている今の気持ちはまったく乾いてない気がする。この気持ちが勇気になる。ドライでもなく、あっさりでもなく、しんみりでもなく、たぶん自分には自分らしいこの感情がある。いい終わりまでつなげることができたんだと思う。逃げずに、続けて、投げ出しもせずに、ここまで続いてきた道だ。「またどこかで会えるといいな、そのときは笑って」というイノセントワールドのメロディと歌詞が、いま、頭の中に鳴り響いている。もらったものを次に受け継ぐ。それも、自分にできること。天命な気がする。

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