【2023.12.03】vol.66 それはそれってことで

日々折々

【2023.12.03】vol.66 それはそれってことで

子どもたちとの外出で、弁当を作ってみた。冷凍食品を使えば、それなりの形になる。子どもたちに対して、そういうことができる時期だ。それは、今しかできないことかもと思った。10年、20年経てば、いつかその時期は終わり、やらなくなり、できなくなり、去っていくこと。

大学4年生のとき、部活同期と旅した台湾の旅行記を書き上げた。言語化が難しい旅だとずっと思って眠っていた。時系列での記述をやめて、心の感情部分を詩の詞のように書いてみたら、新しい文章のスタイルに出会った気がした。

阿部智里さんの八咫烏シリーズ4冊目「空棺の烏」を読んだ。ファンタジーの世界観や構成、言の葉の一つ一つ、ストーリー展開、個性的なキャラたち、どれをとっても作品の魅力に引き込まれてしまう。筆者に対して、いい意味で羨望や嫉妬を感じたりする。それは自分にとっては珍しいことで、自分に何かを伝えようとしているのかもしれない。そういう小説を書きたい。

昔の職場から携帯に着信があって、なんとなく直感的に嫌な予感があった。その1つの出来事で、頭の中も心の中もずっとモヤモヤしてしまう。触らずに、しばらく様子を見てみることも1つの選択肢だ。

仕事の電話にびびりつつも、やってみれば普通に対応できている自分がいる。8ヶ月で積み上げたものは、ちゃんと力になっている。できることはできると思って大丈夫。ハズレくじを引いたら、それはそれってことで。「それはそれってことで」という言葉の響きが、のんきで楽天的で、ありのままを受け入れる寛容さもあって、なんだかいい言葉だ。

親友たちと焼肉を食べて、楽しい時間を過ごした。ときにお金や家の話で、うんざりしたり、不快な気分になったりするときもある。そういうときは押し黙るよりも、率直にピシャリと思うことを素直に言えばいいのかもしれないと気づいた。彼らはそんなことも受け止めてくれる存在のはずだ。

新しい仕事に当たって、しどろもどろになる。周囲の同僚に聞きまくって、時間をかけて、手探りに恐る恐る対応している小さな自分がいた。乗りかかった船だから、交代せずに何とか最後までやりきった。未経験を経験すること。小さな一歩を踏み出せた。それはいつか糧になる。周囲の存在に感謝だ。

娘を就学前健診に連れて行った。初めての小学校だ。無事終えることができて、ホッとする。ランドセルが届いた。娘らしいマリンブルー。男女とか固定観念にとらわれず、「らしさ」を肯定し続ける父親でありたい。息子にも息子らしさがある。他者と比べることなく、まっすぐに自分の道を、自分の足で歩けるように。そう願う。

WBCの記録映画「憧れを超えた侍たち」を観た。心震えて、何度か泣きそうになった。チェコ戦を東京ドームで見たこと。シティウォークしながら、準決勝メキシコ戦の経過をチェックしていたこと。年休とって川崎のHUBで朝から決勝アメリカ戦を見たこと。あれは今年の話だったかとふと驚く。野球は楽しい、スポーツは素晴らしい。日本という国に誇りを感じる。そんな心の震えをもっともっと味わっていけたなら、人生は最高だ。