【2023.09.03】vol.53 戻せない時間を巻き戻す

日々折々

【2023.09.03】vol.53 戻せない時間を巻き戻す

妻の誕生日のあり方も、20代の頃とはだいぶ変わって、子どもたちを最優先するようになった。それは、時の流れによる変化で、昔と今は違うということでいいのかもしれない。仲間づきあいもそうだし、仕事のあり方も、旅のスタイルも変わっている。20代の頃とは違うし、違ってもいいような気がしてきた。

明日が休みの日だと少しだけホッとする。今日と明日のことを考えて、毎日を生きているのかもしれない。休みの日の朝はワクワクする。何をしようかと自由に考える。

子どもが使ったカッターやハサミが床に出しっぱなしで、怒鳴ってしまった。叱るよりも、苛立ちをぶつけてしまった。しまった、やってしまった、と思って後の祭り。引っ込みがつかなくなって、不機嫌な父としての自分がそこにいた。8秒だけ待つことのアンガーコントロールが必要だと反省する。

ラーメン屋に入ったら、券売機の前で、若い学生カップルが注文を迷っていた。その男性と目が合って、先を譲ってくれた。そのさりげなさが、なんと爽やかでナイスガイだと思った。人の優しい気遣いに触れた感覚が余韻として残った。

仕事で電話に出ることにビビり恐れ躊躇っている。昨日は1回出て、うまくいった。やってきた仕事のことならば、窓口でも電話でも同じように対応できると分かってきている。知っていることは答えることができる。他の誰かができることは、自分にだって多分できる。経験を積み重ねていくことだ。

仕事1年目で分からなかったことが、2年目で分かったり出来るようになったりすることもある。今までの仕事でもすべてそうだったはずだ。今現在から見た未来を、過度に恐れる必要はない。やがて知っていくことはたくさんある。「無知」と「自信」と「謙虚さ」が武器になる。

映画「君たちはどう生きるか」を観た。過去作品に比べて、すーっと素直に自分の中に入ってくる感じがなかった気がした。エンターテイメントというよりも、アートという感じがした。観客の方へ歩み寄るような分かりやすさがなく、自分の頭で考えろと伝えているのかもしれない。あえて分かりづらくしているような。ネット検索の時代に、何でも簡単に理解できた気になる現代社会を生きる若者に対するメタファーのような。不思議なファンタジー世界に迷い込む感じは、ジブリ世界そのもので、一つの絵画アートをじっくり鑑賞するような作品だった。

10年計画みたいなものを考えてみる。親子関係、夫婦関係、親戚関係、住宅、教育、仕事、マネー、仲間、社会情勢、自然環境、、、などのカテゴリーで。

9月になった。夏が終わって秋へ。なんとなく、もの淋しい季節になる今がある。

ボスとベテランの先輩が不在の朝があって、業務の責任が自分に回ってくる。まったく覚悟も準備もできてないことを思い知る。正規職員ゆえの責任が自分にも生じ始めている。自分で判断できるようになること。この数ヶ月での課題となるだろう。不在と人事異動に備える。覚悟、勇気、責任、準備。「ノーヒットノーラン」のメロディが聞こえる。スポットライトあてられる日がくる。嫌になって逃げ出したくなるかもしれない。けど、逃げることはあんまりしたくはない。高ければ高い壁のほうが昇ったとき気持ちいいもんな。

朝5時の朝焼けは、金色なオレンジで、とても美しかった。朝の光、月の灯り、海面の光の反射、自然の中に美しいものはたくさんある。それを見つけるのは、自分の心だ。

20年前の9月、二十歳の自分はヨーロッパを初めて旅した。コンチキツアーという35歳までの若者しか参加できないバスツアー。世界中から旅行者が集まった。いつの間にか35歳を飛び越えてしまった。今月はコンチキツアーの旅行記を書き直そう。戻れない時間を、戻せない時間を、頭の中で巻き戻すことならできる。